
乳がんの早期発見・治療のために定期的に検診を
日本女性の乳がん罹患率は22人に1人。乳がんは、もはや特別な病気ではありません。恐れるよりも、大切なのは定期的に検診を受けること。早期に発見・治療すれば、ほとんどの場合、乳房を温存したまま治せます。

乳がんは女性のがんのNo.1
日本の女性がかかるがんの第1位は乳がん。それまで長く1位だった胃がんを抜いたのが1996年でした。このとき、女性の30人に1人は乳がんを経験するといわれましたが、以後も罹患率は増加の一途をたどり、2005年には約4万1000人、22人に1人の割合になっています。
乳がんは乳房のなかにある乳腺に発生する悪性腫瘍。20歳過ぎから発生が認められ、30歳代、40歳代と増えていきます。ピークは40歳代後半から50歳代前半で、2006年には1万1272人もの方が乳がんで亡くなりました。これは発病した方の30%にあたります。
乳がんのリスクが高い人は
乳がんは女性ホルモン(エストロゲン)との関わりが深く、次にあてはまるような人が乳がんのリスクが高いとされています。
□ 初潮が早く、12歳以下だった
□ 閉経が遅く、55歳以上だった
□ 年齢が40歳以上である
□ 初産が35歳以上だった
□ 授乳経験がない
□ 標準体重を20%以上超えている
□ ピルや女性ホルモン、副腎皮質ホルモンを常用している
□ 良性の乳房疾患にかかったことがある
□ 近親者(母や姉妹)に乳がんになった人がいる
ただし、あてはまるからといって必ずしも乳がんになるわけではありません。また、あてはまらないから、絶対に乳がんにならないというわけでもありません。
日本の女性の乳がん罹患率は、かつては欧米の5分の1程度でしたが、食生活の欧米化(高タンパク・高脂肪)にともない、急激に増加して今に至ります。体格が欧米の女性たちに近づくにつれ、初潮年齢が早まり、閉経は遅くなり、エストロゲンが分泌される期間が長くなったことが原因と考えられています。
月に1度は自己診断を
早期発見のためには、自己検診と専門医の検査が必要です。生理開始から1週間ほどたつと乳房のはりがおさまるため、しこりなどの異常を発見しやすくなるので、この時期に自分でチェックすることを習慣づけましょう。生理が不順な人や閉経した人は、毎月、日にちを決めておくと良いでしょう。
自己診断は、見た目も大切。入浴するとき、鏡に映して、くぼみやひきつれ、ただれ、皮膚の色の変化などがないかを観察します。
浴室では手に石鹸をつけ、親指以外の4本の指をそろえて、指の腹を少しずつずらしながらしこりがないかを確認します。小さな「の」の字をたくさん描くようなつもりで押し撫でると分かりやすいでしょう。乳頭をつまんで、分泌物の有無も調べます。
乳がんは乳房のふくらんでいる部分にだけ発生するものではありません。鎖骨のすぐ下から脇の下、下はブラジャーの腺の下あたりまで念入りにチェックしましょう。右側は左の手で、左側は右手を使います。
部屋であお向けに寝てチェックする方法もよいでしょう。この時、背中にたたんだバスタオルなどを入れると調べやすくなります。
しこりがあっても、そのすべてが乳がんとは限りません。乳腺症や良性腫瘍、細菌感染による乳腺炎などの場合もあります。しこりを発見しただけで乳がんの手術を恐れて病院に行きたがらない方もいますが、異常や変化を認めたら、一刻も早く専門医を訪ねることが大切です。
乳房の異常は乳腺外科や乳腺外来に
乳がんの細胞が1cm程度のしこりになるには、8~9年の年月がかかるといわれます。触診できるしこりになるその前に発見できれば、乳房の切除範囲も小さくてすみ、ほとんどは手術だけで治すことができます。
乳がんの専門医というと婦人科を連想しがちですが、診療科は乳腺科(乳腺外科、乳腺外来)。乳腺科がない場合は一般外科になりますが、曜日によって乳腺専門外来を設けている場合もあるので、ホームページや電話などで確認してから出かけることをおすすめします。
まだしこりにもなっていない、わずか数ミリの乳がんでも、マンモグラフや超音波(エコー)検査で発見することが可能です。
マンモグラフは板状のガラスに乳房を挟んでひらたくのばし、上下と左右から撮影する乳房専用のレントゲンです。強く圧迫するため、痛みを感じる人もいますが、時間はわずか。耐えられないほど痛いものではなく、傷やあざになるほどではないので、心配はいりません。
必ず乳がん検診を受診する
乳がん検診を受けるには、自治体の住民検診や職場の検診を受ける方法と、自分で人間ドックや医療機関の検診を選択して受診する個別検診の3つがあります。
集団検診の場合、対象となる年齢や検診内容、自己負担額は住んでいる区市町村や職場によって異なります。個別検診は健康保険は適用されないため、全額自己負担になります。
厚生労働省がまとめた各市町村で行っているがん検診受診率を見ると、どのがん検診よりも乳がんの受診率が低いのが分かります。2004年度から自治体の乳がん検診の間隔が2年に1度になりましたが、2003年でも受診率は12.9%に過ぎません。
個別検診は費用も負担が大きいもの。自分が住んでいる地域では、どんな検診が行われているかをきちんと把握して、集団検診を受けるチャンスは逃さないように気をつけましょう。
乳がんに予防策はありません。早期発見・治療が最善の策。事実、アメリカやイギリスでは、乳房専用のレントゲン「マンモグラフィー検査」の普及や啓発活動の成果が現れ、1995年以降、乳がんの死亡率は減少傾向にあるのです。
そのためには、月に1度の自己検診を忘れないこと、そして40歳を過ぎたら最低でも1~2年に一度はマンモグラフィーやエコーによる検査を受けることが大切です。
もっと知りたい乳がん
NPO法人乳房健康研究会
http://www.breastcare.jp/
NPO法人 J.POSH事務局
http://www.j-posh.com/
東京マンモグラフィーキャンペーン
http://tokyommg.org/
乳がん百科
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/breast/
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