
気づかないうちに骨がスカスカ? 骨粗鬆症
「運動しているから骨は丈夫」「牛乳好きだから骨には自信がある」という人でも、家具にぶつかったり、尻餅をついただけで骨折することがあります。
原因は、骨がスカスカになって折れやすくなる骨粗鬆症。
高齢者が寝たきりになる原因の2割は骨折だといわれています。
骨が弱くなると、二次的な問題が発生する可能性が高くなるのです。
ですが、いたずらに怖れる必要はありません。
骨粗鬆症は予防できる病気。骨を丈夫にする生活を心がけましょう。

2010年には骨粗鬆症患者が1245万人に
骨粗鬆症になると、「こんなことで…」と驚くようなささいなことで骨折することがあります。家具にちょっとぶつけた、つまづいて手やヒジをついた、荷物を持ち上げたというような行為で、手首や腕、太もも(大たい骨)、背骨などが折れてしまうのです。
特に大腿骨の骨折で寝込んでしまうと、治癒した後も自力で歩けなくなり、そのまま寝たきりになってしまうことが少なくありません。
背中が丸くなるのも骨粗鬆症の典型的な症状です。もろくなった背骨が圧迫されてつぶれてしまうのです。背骨が湾曲すると内臓が圧迫され、消化不良や便秘など胃腸に障害が出たり、背中や腰に痛みが生じることもあります。
骨粗鬆症そのもので命を失うことはありません。しかし、生活の質は大きく左右されるのです。
財団法人骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症の患者数は2000年で約1000万人。2010年には1245万人にのぼると予想されています。
健康な骨を維持する生活をしていますか?
次の項目のうち、あてはまるものにチェックしてみましょう。
□ 女性である
□ 閉経した
□ 近親者に骨粗鬆症の人がいる
□ 運動の習慣がない
□ 乳製品はほとんど食べない(飲まない)
□ 緑黄色野菜はほとんど食べない
□ たばこを吸う
□ よくお酒を飲む
チェックした項目が多いほど骨粗鬆症のリスクが高くなります。
性別や遺伝的体質は変えられませんが、生活習慣は自分で変えることができるはず。骨粗鬆症予防には食事と運動が重要です。たばこやお酒は「骨量」を減少させる可能性があるのでできる限り控えましょう。
骨は生まれ変わらない?
「骨量」というのは骨全体の中に含まれるすべてのミネラル(カルシウムもミネラルのひとつ)の量のこと。よく耳にする「骨密度」は、一定の容積にどれぐらいのミネラルが含まれているかを表しています。
骨は一度完成したら活動をストップし、次第に老化していくというものではありません。人が生きている間じゅう、骨も絶えず生まれ変わっているのです。その生まれ変わりのサイクルが「骨代謝」。古くなった骨を「破骨(はこつ)細胞」が破壊し、破壊された部分に「骨芽(こつが)細胞」が新たな骨をつくります。破壊することを「骨吸収」、新たにつくることを「骨形成」といいます。こうして骨は新陳代謝を繰り返しているのです。
患者数は女性が男性の約3倍
この骨代謝に深く関わっているのがエストロゲンという女性ホルモン。閉経によって急激にエストロゲンが減少すると、骨芽細胞の働きが低下し、破骨細胞が古い骨を壊すスピードに追いつけなくなります。骨吸収が過剰に行われ、骨形成が停滞することで、骨量が減少してしまうのです。
女性が50歳を超えると骨粗鬆症の割合が急激に増加し、70歳を超えると程度の差こそあれ、2人にひとりは骨粗鬆症だというのは、こうしたエストロゲンの影響によるものです。
当然、男性でもエストロゲンは働いていますが、もともと女性より骨量が多い上、男性ホルモンの助けもあるので女性ほど重要ではありません。骨粗鬆症の女性患者数は男性の約3倍。男性が加齢によって骨芽細胞の働きが衰えてくるのは一般的に70歳前後から。骨粗鬆症リスクには性差があることを知っておきましょう。
骨を強化する食品
骨といえば思い浮かぶのがカルシウム。調理がいらず手軽に摂取できる優秀な食品の代表は牛乳です。ただし、脂肪分が多いので、1日コップ1杯ぐらいが適量です。大豆製品や緑黄色野菜、魚介類などからも摂取しましょう。また、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、骨形成を促進するビタミンK、カルシウムが正しく働くためのマグネシウムも必要です。
最近の研究では、骨の質を上げるためにビタミンB12、ビタミンB6、葉酸も重要であることが分かってきました。
こうして必要な栄養素をあげていくと、結局はいろいろな食物をバランス良く摂取することが一番だという結論になりそうです。
| 骨を強くする栄養素を多く含む食品の例 | |
|---|---|
| カルシウム | 牛乳、小松菜、ブロッコリー、魚介類、豆・大豆製品 |
| ビタミンD | サケ、サンマ、ウナギの蒲焼、カレイ、きのこ類 |
| ビタミンK | 納豆、モロヘイヤ、ほうれん草、春菊、小松菜 |
| マグネシウム | 干し柿、アジ、まぐろ、いか、納豆、ほうれん草 |
| ビタミンB12 | しじみ、あさり、はまぐり、レバー、いくら、サンマ |
| ビタミンB6 | いわし、かつお、まぐろ、サンマ、肉類、ピーナッツ |
| 葉酸 | 枝豆、空豆、ブロッコリー、ほうれん草、のり、緑茶 |
美味しく食べて骨粗鬆症を予防する
骨を丈夫にするには毎日の食事が大事と分かってはいても、メニューを考えるのはなかなか大変。そんな時は、骨粗鬆症の基礎知識や情報を提供するウェブサイトの料理ページも参考になります。
●骨の健康づくり委員会
http://www.hone-kenko.org/
「骨を強くするレシピ」の掲載数は200品以上。「牛乳・スキムミルク」「チーズ」「ヨーグルト」「その他の素材」で作る料理が、「しっかりした食事」「朝食・軽食」「デザート」の3つに分類されています。
●骨粗鬆症と関節痛の総合情報サイト リッチボーン
http://www.richbone.com/
「簡単!カルシウム料理」のページにダウンロードして印刷できるレシピ集があります。料理研究家や和・洋・中・イタリアンのシェフが考えたオリジナルレシピのほか、投稿レシピも掲載されています。
運動しないと骨は弱くなる
骨は適度な力がかかることで強くなります。たとえ、すでに骨粗鬆症の傾向にある場合でも、骨折を怖れて運動を避けてはいけません。運動を習慣化すると、筋力を鍛えることができます。骨が多少弱くても、骨を支える筋肉がしっかりしていれば、転倒のリスク、ひいては骨折のリスクがぐんと下がります。
一番問題なのは骨折しないようにと用心して外出もせず、屋内で安静にしていること。これでは、骨も筋力も弱まる一方。自分の体力に応じた運動を継続して行いましょう。高齢の方、骨粗鬆症の症状がある方は、転倒の危険がある運動は避け、どのような運動が適しているか、かかりつけの医師に相談するとよいでしょう。
カルシウムを吸収するために必要なビタミンDは食べ物だけでなく体内でも合成されていますが、それには日光(紫外線)が不可欠。屋内だけにこもらず、散歩や日光浴などで適度に日にあたる必要があることもお忘れなく。
定期的な骨検診で経過を観察
骨粗鬆症は、初期のうちは自覚症状はありません。背中が丸くなってきたり、身長が若い頃より3cm以上小さくなったら要注意。すぐに検査を受けたほうがよいでしょう。
女性は自分のピーク時の骨密度を知っておくと、予防に役立ちます。40歳ぐらいまでに一度自分の骨密度を測定しておき、閉経後はできれば年に1度測定し、経過を観察できればベストです。
ほとんどの市町村で骨検診を行っているので、自治体の窓口や保険センターに問い合わせてみてください。骨量を測定してくれる医療機関もあるので、かかりつけ医に尋ねてみてもよいでしょう。
骨粗鬆症の治療法
20~44歳の骨密度の平均値と比べて70%未満だと、骨粗鬆症と診断されます。治療は食事と運動療法が中心。ここで述べたようなバランスのとれた食事、適切な運動の継続、適度な日光浴が基本です。
さらに、医師が必要に応じて薬を処方します。カルシウム製剤や女性ホルモン製剤、骨形成を促すイソフラボン製剤、破骨細胞の働きを強力に抑制するビスフォスフォネート製剤などがあります。
もっと知りたい骨粗鬆症
●骨の健康づくり委員会
http://www.hone-kenko.org/
●骨粗鬆症と関節痛の総合情報サイトリッチボーン
http://www.richbone.com/
●財団法人骨粗鬆症財団
http://www.jpof.or.jp/
●武田薬品工業 骨粗鬆症のはなし
http://www.takeda.co.jp/pharm/jap/seikatu/osteoporosis/index.html
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