
浴室とトイレのリフォーム
将来を見据えて……シニア世代のリフォーム 第3回

最新式の設備に変えれば安心?
リフォームコンクールで何度も受賞されているエス・オウ設計事務所の寺林成子さん。第3回目は浴室とトイレのリフォームについて教えていただきました。
浴室やトイレはキッチンと同様、リフォーム願望の高いスペースですが、「古いユニットバスを最新式のシステムバスにすれば気持ちいいだろう、新しいトイレなら快適だろうという安易な考えでは、数年後にはまた不具合が出てくるかもしれませんよ」と寺林さん。
かといって、すべてを高齢者仕様にすれば安心かといえば、そうとも限らないのが難しいところです。
頭の中に将来の備えを
「人は、みんな美しく生活したいものなんです。たとえば、将来に備えて、いま必要でもないのにお風呂やトイレなど、家じゅうのあらゆるところに手すりをつけるようなことはしなくてもいいんです。
だけど、必要になったとき、壁の下地が弱くて取り付けられないようでは困ります。“今はいらないけど、必要になったらここにつければいいわ”と頭に入れておくことが大切なんです。それが私がリフォームで一番大切だと言っている“全体像”です」
浴室やトイレは、家のどの位置にあるかがとても重要。いまの位置で、部分的なリフォームだけで済ませていいのか、それともリフォームを機に配置換えしたほうがいいのかを考えなければいけません。
全体のバランスを考える
集合住宅は制約がある場合もありますが、一戸建てなら、好きな場所に浴室を移動させることができます。リタイア後、在宅時間が長くなったら、日の当たる南向きのバスルームでリッチなバスタイムを楽しみたいという方もいるのでは?
でも、ちょっと待って。
「技術的には南に浴室を移動させることが可能だったとしても、リッチなバスタイムのために何を犠牲にするかという課題が発生します。1日30~40分、すばらしく気持ちのよい南側の風呂に入るために、1日の大半を過ごすリビングが暗くなってもかまわないか、というような問題です。すべては全体のバランスなんです」。
浴室、トイレは寝室の近くに
高齢者の家庭では、浴室とトイレは寝室のすぐ隣にあるのが便利です。
「寝室の隣に納戸や押し入れを作っておくと、将来、トイレにリフォームするのが簡単です。私が手がけたなかでは、浴室の場所はそのままで寝室を隣に移動させたり、引き戸を開ければ居間と寝室、トイレ、浴室が全部つながっているという作りにしたこともあります」
浴室スペースは快適さだけでなく、万が一、介助が必要になったときのためにも広いに超したことはありませんが、浴槽が広すぎるのは身体が安定せずにかえって危険な場合もあるので注意が必要です。
「一般的には浴槽は深さ50~55cmぐらいの和洋折衷タイプで、洗い場から浴槽の縁までが高さが40cmの半埋め込み式がおすすめです。つまづき防止のためにも洗い場と脱衣所には段差がないほうがいいですね」
浴槽の縦側に空きスペースを作ると介助がラク
盲点は浴槽まわりの空きスペースの形です。洗い場が広いほうが介助しやすいのはもちろんですが、1方向から介助するのと、2方向から介助するのでは、断然2方向から介助できるほうがラク。
「1方向からの介助は、介助する人が腰を痛めやすいんです。横側だけでなく、縦側にも空きがあれば、入浴している人の後ろに回りこめるので、介助が格段にラクになります。十分なスペースがとれない場合でも、最低20cmのスペースがあれば足を置くことができます。この縦側のスペースがあるかどうかの差は大きいですよ」
取材にご協力いただいたのは
■エス・オウ設計事務所代表 寺林成子さん
一級建築士、リフォームマネージャー、インテリアプランナー。楽しい空間づくりをモットーに個人住宅、集合住宅等のリフォームを長年手がけている。住まいのリフォームコンクール 第11回 尚明賞ほか多数受賞。共著『50代リフォーム 素敵に自分流』 (経済調査会刊)好評発売中。また、季刊のリフォーム専門誌『リフォーム倶楽部』に実例が多数掲載。
エス・オウ設計事務所
東京都中央区銀座1-9-8-401 TEL:03-3564-2629
http://www.aalab.com/soponte/
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