
リフォーム願望の高い水回り。プランを練るその前に
将来をみすえて……シニア世代のリフォーム 第1回
エネルギーのあるうちに住まいの見直しを

リフォーム願望No.1はキッチンや浴室などの水回り。ただし、ひと口に水回りといっても若い世代とシニア世代では望むもの、必要なものは自ずと違ってくるものです。
数多くのリフォームを手がけ、『50代リフォーム 素敵に自分流』の共著もあるエス・オウ設計事務所の代表・寺林成子さんは「年齢を重ねるごとに家で過ごす時間が長くなる傾向にありますが、ほとんどの時間を家で過ごすようになる前、エネルギーがあるうちに住まいを見直すべき」といいます。
全体計画をたててから、部分的なリフォームを
「ただし、台所を使いやすくしたい、最新設備のお風呂にすれば快適だろうなんていうリフォームではダメ! そんな計画では、また、すぐに困った状況が起きて、リフォームをやり直すはめになってしまいますよ」とバッサリ。
つまり、今リフォームするのは一部の空間だけだとしても、未来の住まいの全体像を思い描くことが大切だというのです。60代、70代、80代の老後をどんなふうに暮らしていきたいのかを考え、家全体のバランスや全体的な計画を頭に入れておきましょう。
「それができていればキッチンや浴室など、部分的なリフォームをしても大丈夫。将来、それ以外のところをリフォームすることになったとしても、無駄な出費をしなくて済みます。必要なのは“足し算のリフォーム”です」。
キッチンは今の場所で大丈夫?
後悔しないためには、先のことを頭に入れてリフォームすること。
この納戸は、将来、寝室につながるトイレにしよう-そう心づもりをするだけでも違います。
例えば、リフォーム後の素敵なキッチンを想像してワクワクする時、本当に今の位置でいいのかどうか考えたことはありますか?
「高齢になったらトイレは寝室のそばがいいと聞いたけれど、将来的にトイレを動かすとなると、キッチンがこの場所にあったら邪魔になるかしら?」などと、ちょっと回りを見るだけで部分について考えるべきことが浮かぶのです。
キッチンを小さくするか? 大きくするか?
キッチンをリフォームするとしたら、スペースは大きくしますか? それとも小さくしますか?
団塊の世代を例にとると、広げるより小さくするケースのほうが多いといいます。子どもが独立して夫と2人になったから。広いと片づけるのが大変だから。料理するのが億劫になってきたらからなどと理由はさまざま。
逆に少数派ではあっても、「定年したら夫を料理づくりに参加させたい」「時間ができたので、客を招きたい」などと、今よりスペースを広げる方もいるでしょう。ふたりで使うなら、キッチンの通路は広めにしておくと、あとあとがラク。
暮らしに合ったスタイルと身体に負担の少ない高さを選ぶ
キッチンの位置や広さが決まったら、スタイルを決めなくてはなりません。
例えば、シンクや調理台がコの字型に並ぶスタイルは動きが少なくてすみますし、対面式のカウンターなら料理しながら話をしたり、リビングの様子を見ることができます。
独立したキッチンにするか、リビングやダイニングと続くスペースとして考えるかは、これもまたどう暮らしていくかに関わります。
スタイルだけでなく、高さも重要。
定年後は夫にもキッチンに誘い込み、料理に参加させようという計画なら、高さも男性に合わせて、少し高めの90cmにするという選択肢も。
低いより高い方が腰への負担も軽いうえ、この高さなら、平均的な身長の女性も腰をかがめずに作業することが可能です。
次回は寺林さんにキッチンのリフォームについて、さらに具体的なアドバイスをいただきます。
取材にご協力いただいたのは
■エス・オウ設計事務所代表 寺林成子さん
一級建築士、リフォームマネージャー、インテリアプランナー。楽しい空間づくりをモットーに個人住宅、集合住宅等のリフォームを長年手がけている。住まいのリフォームコンクール 第11回 尚明賞ほか多数受賞。共著『50代リフォーム 素敵に自分流』 (経済調査会刊)好評発売中。
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