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おしゃべり目玉の貫太郎 - 読む介護BOOK

コミュニケーションの手段は目玉だけ
どうやって会話するの?

おしゃべり目玉の貫太郎

著者:鈴木公子
出版社:講談社
単行本:231ページ
価格:\1470(税込)


 フランスを代表するファッション誌「ELLE」の元編集長が、ある日脳梗塞で倒れ、頭はクリア、目も見えるのに、口も聞けず、首から下は動かすことができない。動くのは左目だけ。その左目の瞬きだけでアルファベットを綴り、一冊の本を書き上げた。

 3月に公開され、アカデミー賞候補にもなった映画「潜水服は蝶の夢を見る」。主人公の病名は「ロック・イン・シンドローム」、日本語では「閉じこめ症候群」というらしい。今回紹介する本の主人公、貫太郎さんの病気ははまさにこの「閉じこめ症候群」。

 高速道路の設計に携わっていた鈴木貫太郎さんが、ゴルフのプレー中に転落し、頭を強打して脳幹部の太い動脈に血栓ができたため、体の生体機能をつかさどるところが機能しなくなってしまったのだ。でも、人の声は聞こえ、考えることもでき、記憶もハッキリしている。なのに、自分の思いを声にして伝えることができない。


 でも、妻であり著者の公子さんは嘆くまもなく、3人の子どもと義父の世話に加え、介護生活が始まる。コミュニケーションの手段は動く目玉だけ。それでも、持ち前のバイタリティーを失わない貫太郎さんの明るさと、「完璧な介護」を目指さない楽天的な公子さんの二人三脚は、次々起こる難題から逃げることなく、一歩ずつ「希望」に向かって前進している。


 もちろんつきっきりの介護生活だが、夫婦げんかもするし、時にはさぼって山登りに出かけ、エネルギーをもらってくる公子さんのエピソードもほほえましい。家族やまわりの人の温かい励ましで元気に暮らす日々を涙と笑いで綴った45年の物語。あらためて「生きる力」の素晴らしさを感じる一冊だ。



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| 2008年05月28日 |
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