
Q:有料老人ホームで夫婦の別居を提案されました
現在、同じ有料老人ホームに入居している父母の事で相談です。
2人とも、それぞれ認知症があるのですが、最近は母の方が認知症の進行が大きく、感情を自制できない様なのです。それも、女性の入居者様や女性介護員と、父の仲を疑い、直接的に父ではなく、そうした女性の方々に向かって、「私の夫に色目を使った!」「私という妻の目の前で、図々しく夫を誘惑している!」などと、強い罵声を浴びせるのです。幸い、周囲の皆様には ご理解をいただいているようなので、今のところは目立ったトラブルは無いようですが、やはり今後に不安が募ります。
しかも先日は、その施設の相談員さんから、夫婦の別居を提案されました。このままではご夫婦のためにもならないので、どちらか片方を、同じ会社で経営している、隣町にある有料老人ホームに…とのことです。さらには「隣町のホームは、現在お住まいのホームよりも料金は安いのですが、ご夫婦の都合(特に母の精神不安定)で別居となるので、お二人とも現在お住まいのホームでの料金設定になります」とも言われました。
認知症の老親を預かっていただいているので、私にも常々 感謝と恐縮の気持ちがありますが、こうした提案には納得しかねる思いもあります。
認知症を含め、様々な身体的・精神的症状を抱える高齢者の方々をケアすることが大前提の介護サービス施設から、「認知症が悪化したので、隔離を勧める…」といった提案が出されることには、いささか短絡的で拙速な印象を受けます。まして、突然に配偶者と隔離させられたことで生じる精神的なダメージは、ご夫婦の双方に一層のストレスを生じさせ、心身の機能低下などを引き起こす危険性が高いようにも思えます。“まずは隔離…”と性急に対処するのではなく、現在の施設生活における暮らしのリズム(活動,交流など)の改善や、認知症に対する処方の変更など、極力ご本人様に負担の少ない形での改善を試みることが、より適切な場合もあります。
まずは、施設側との冷静な話し合いの場を設け、充分な協議をしましょう。ご夫婦の生活,行動についての詳細な情報提供を受けながら、ご家族側の意見や要求も率直に伝えることが大切です。一方の側からの偏った視点で結論を設けることは、好ましくありません。
また、理由や都合の如何を問わず、実際に提供されているサービス料金とは異なる請求は、社会的にも不適切です。感謝の気持ちとは一線を画し、困惑や疑問を感じない介護サービスの利用を心掛けましょう。
施設側の対応や提案に不安が大きい場合には、公的機関(市区町村の介護相談窓口)に相談することも、良いでしょう。
回答者/佐藤 弘一郎(介護福祉士)
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