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Q:母が失禁を恐れるあまり、水分を控えるようになってしまいました。

 79歳になる母は、足腰も衰えて歩くこともゆっくりです。最近では、「トイレに間に合わず、粗相(失禁)をすると大変だ」と言い、夕方からは水分を控えるようになりました。お茶も飲まなければ、夕食の味噌汁も残してしまいます。あまり水分を敬遠することは、かえって体に悪いのでは…と提言しても、「年寄りには、これで充分。若い人とは違うのよ」と答えます。この頃は私も、そんなものかなぁ…と考えるようになりましたが、やはり不安があります。

回答 水分不足=脱水状態は、万病の素であることを、まずはご理解ください。脱水が引き金となり得る主な症状を挙げてみますと、


1.便秘の悪化(気分の不快や食欲低下も招きます)
2.動悸、頻脈(脈拍数の異常な増進)
3.微熱が出て、いつまでも下がらない
4.気力・体力の低下
5.意識混濁(不意に意識が遠のき、いつまでもボーっとしている) 


 …など、様々に恐ろしい状態が列挙できます。そして何より危機的なのは、そうした状態で起こしてしまう転倒・転落事故や、血液がドロドロになることで脳梗塞など血管の詰まりによる発病の危険性が、飛躍的に高まることなのです。


 また、お義母様は水分摂取の必要量について「若者と年寄りは違う」との認識を示されているようですが、失礼ながら危険な誤解であると言わざるを得ません。


 成人が、生命維持のために摂取しなければならない1日の水分量を不可避水分摂取量と呼びますが、その量は食事・飲み物などを合わせて約2500mlといわれています。その大部分は、飲水=飲み物の直接的な摂取によりますので、最低でも1000~1500ml程度は、お茶や水などで賄わなければなりません。個人の運動量や活動性によって、若干の違いはあるものの、夕方以降に入浴を経て、一晩中も水分を取らない状態は、かなりの脱水状態に陥っているといえます。


 加えて高齢者は、通常でも非常に脱水状態になりやすいものなのです。それは、食事や飲み物などの直接的な水分摂取量の減退だけでなく、体内で重要な貯水機能を果たしている“筋肉”の減少なども、脱水に拍車をかけているからです(筋肉の発達していない子供が脱水症状になりやすいのも、同じ理由といわれます)。ですから、ただでさえ成人の60%程度の体内水分しかないといわれる高齢者が、更に水分摂取を控えるということは、非常に危険なことなのです。


 お義母様の場合は、失禁に対する恐れと恥ずかしさが水分を控える理由のようですから、お部屋をトイレにより近い場所に移すとか、就寝前には必ずトイレに行く習慣を持つなどして、正常に水分を摂ったうえでの対策を考えることが、ご本人の健康のためです。


 また、どうしても水分を頻繁に摂取する意欲が湧かない場合には、お好きな飲み物を、小分けにして(食前・食後,入浴前・入浴後などに)勧めると、抵抗が少なく感じられるでしょう。特に、就寝前・起床後,入浴前後の水分補給は重要です。


 最後になりましたが、腋の下に手を入れることで、脱水状態か否かを簡単に判別することができます。腋の下が湿っていれば良し、乾いているようであれば、脱水状態に陥っているというサインなのです。


回答者/社会福祉主事 佐藤弘一郎


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| 2007年12月19日 |
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