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グランクレール藤が丘

まちづくりの視点でシニアの暮らしを応援

さまざまな企業が有料老人ホームの運営に乗り出している。
そこにどんな意図があるのか、前から気になっていた。
そんなときに、大手企業が「まちづくり」を視点に
高齢者住宅の運営に取り組み始めたと聞いた。
ともすると高齢者の生活は福祉という枠組み込まれがちなので、
まちづくりというのはユニークな発想だと思う。
実際にどんなシニアライフが描かれているのか知りたくて
「ホテルライクな高齢者の住まい」を訪ねてみた。

生活支援企業が提案するシニアライフ

● まちづくりの視点で取り組む●

渋谷から東急田園都市線で約30分。藤が丘駅で降り、南口改札口を出て徒歩2分、ショッピングモールを通り抜けると「グランクレール藤が丘」だ。2006年8月に開業したばかりの高齢者住宅で、健常者向住戸シニアレジデンスと介護付住戸ケアレジデンスが併設されている。

経営母体は東急不動産(株)で、運営は高齢者事業のために設立された子会社(株)イーライフデザインだという。「生活ニーズに応えるまちづくりの一環として、高齢者住宅事業に取り組んでいます」と、グランクレール藤が丘の支配人、山本さんが説明してくれた。

子育て世代がマンションや戸建て住宅を購入して移り住む。子育てを終えて迎えた老後。慣れ親しんだ生活環境の中で、高齢者に優しい快適な住まいに移り住みたい。そんな住み替えニーズをいち早くキャッチした事業展開というわけだ。だから、老人ホームというよりも「高齢者住宅」というほうがふさわしい感じがする。マイホームは各自の居室で、グランクレール藤が丘というのは高齢者専用マンションの名称。そう考えるとわかりやすい。


入居者のプライバシーとセキュリティーを守るフロントサービス

● 資金計画に合わせた支払い方式●

落ち着いた佇まいの外観は高級マンション、フロントと明るいロビーラウンジのあるエントランスはまるでホテルのようだ。高級感に圧倒されて、思わず「富裕層対象の高級老人ホームなのですね」と感想を漏らしたら、「いいえ。違います」と支配人にきっぱりと否定された。「設備の質は高いですが費用はリーズナブルな設定です」という。

戸建て住宅を売却して老後の資金にする人、年金で老後の生活費をまかないたいという人、老後の資金計画はそれぞれの事情によって異なる。いくらかかるのか。どのくらいなら払えるのか。資金計画はおろそかにできない。

グランクレール藤が丘の場合、シニアレジデンスの入居一時金は一人1200万円とまとまった金額が必要だが、「入居後の費用は家賃を払う月払い方式と一括支払い方式から選べます。また、入居年齢別の料金設定とし、年齢による負担の不公平感をなくしました。加齢に伴って介護が必要になれば、シニアレジデンスからケアレジデンスに移り住むことができます」とのことだ。


来客との面会やティータイムをロビーラウンジですごす入居者が多い

快適な住空間で暮らしを楽しむシニアレジデンス

●機能的で安心できるマンション●

百聞は一見にしかず。居室や共有スペースを案内してもらった。シニアレジデンスの間取りは1R〜2LDKで、機能的でコンパクトなキッチン、安全に配慮した浴室と洗面所を基本に、17タイプのバリエーションがある。人気が高かったのはペットと一緒に暮らせる居室で、すぐに完売したという。

どのタイプも、玄関には靴を脱いだり履いたりするときに腰掛けられる壁収納ベンチが設置され、車椅子でも使いやすいようにと引き戸になっている。部屋の中では、カードボックスに差し込むと、生活リズムセンサーが作動する。まるでホテルのようだ。

また、在宅しているはずなのに、12時間を経過しても水の使用が認められない場合は、万一に備えてスタッフが入居者の様子を確認するというシステムを採用している。このような安否確認システムは、入居者本人はもちろんのこと、離れて暮らす家族にとっても安心できる仕組みだ。


1Rタイプのモデルルーム。トランクルームが全戸分完備されているので、すぐに使わないものはそこに入れておけるので、スッキリした室内で過ごすことができる。

● ホテルのような生活を提供●

共用設備としては、栄養とおいしさを両立させたメニューを提供するレストラン、天然温泉が湧出する浴室などが備えられている。また、1階に開業しているクリニックと契約し、日常的な健康相談や定期検診を行うなどのヘルスケアも備えられている。そば打ち、演奏会、名画鑑賞会などのお楽しみイベントも多い。だが、駅に近く、電車に乗れば渋谷にも横浜にもすぐに出られるので、昼間は外出している入居者が多いという。元気な高齢者の生活はなかなか忙しいのだ。

フロントでは長期不在時には植物の水やり、居室の管理など無料サービスを行っている。また、居室内の掃除や役所などへの所用代行、買い物代行などの有料サービスのメニューもある。

このように共有スペースやフロントサービスが充実しているので、自宅でありながらホテルのような快適な暮らしを満喫できるのが、シニアレジデンスの特長といえそうだ。


富士山や丹沢山系が見渡せる屋上の足湯ガーデンでは、天然温泉の足湯が楽しめる

要介護の生活をサポートするケアレジデンス

●時代のニーズに応じた介護居室●

今年3月にオープンしたばかりのケアレジデンスは48戸。定員1名の一般介護居室(ワンルーム/約18㎡)と定員2名のゆとり一般介護居室(1LDK/約36㎡)の2タイプある。1LDKのゆとり一般介護居室は、元気な人と介護が必要な人が同じ部屋で暮らせるタイプだ。老夫婦二人きりの生活で、どちらかが要介護状態になると、自宅と施設に別れて暮らす例も少なくない。また、老いた子が親の世話をする老老介護もある。二人で暮らせる部屋というのは、確かに時代のニーズに応じた新しいタイプの介護居室といえそうだ。


定員2名のゆとり一般介護居室(1LDK/約36㎡)。通常のマンション販売と同様にモデルルームを見学できる

全48戸のうち9戸は介護保険適用のショートステイ居室で、オープン直後からクチコミでの利用が多いという。新しい快適な環境でケアを受けさせてあげたい。そんな家族の思いは切実だ。だからこそ、宣伝もしないのにクチコミでその名が知られるのだろう。

●介護生活の質を上げる快適な環境●

介護の質を上げるには、居室の環境だけでなく生活を支援するさまざまな設備の充実が不可欠だ。ケアレジデンスには、リビングダイニング、介護浴室、機械浴室、マザーステーション、共用トイレ、ガーデン、ビューティーサロン、リハビリルームが備えられている。


リハビリルームでは、一人ひとりの状態に応じて、理学療法士の指導のもと、各種器具を用いた適切なリハビリテーションを行うことができるという。また、要介護になると外出等もままならないために、理美容などのケアも不自由になりがちだ。ここではビューティーサロンが館内にあるので、ゆっくりと落ち着いてサービスを受けることができる。

居室は要介護の高齢者本人にはもちろんのこと、その家族にとっても安心してくつろげる住まいだ。そして、こうした介護の日々を快適にしようと支えてくれる設備の数々がそろったフロア内は、小さなまちのようだ。高齢者のための「まちづくりの視点」は、こういうところにも象徴されているようだ。居室は要介護の高齢者本人にはもちろんのこと、その家族にとっても安心してくつろげる住まいだ。そして、こうした介護の日々を快適にしようと支えてくれる設備の数々がそろったフロア内は、小さなまちのようだ。高齢者のための「まちづくりの視点」は、こういうところにも象徴されているようだ。

データブック

ホーム名:グランクレール藤が丘
事業主:東急不動産株式会社
販売代理・運営代理:株式会社イーライフデザイン
住所:神奈川県横浜市青葉区藤が丘1丁目37-1他
電話:0120-109-590(グランクレール藤が丘入居相談室)
FAX:045-979-0649
戸数:総戸数128戸(シニアレジデンス80戸内3住戸ペット可)(ケアレジデンス48戸)
URL:http://www.grancreer.com/

●取材を終えて●

有料老人ホームは、健康型と住宅型、そして介護付の3種類に分けられる。グランケア藤が丘は、住宅型だと介護付きの複合型だ。

フロントを活用してさまざまなサービスが受けられる。自分で料理を作らなくてもレストランでおいしい食事が楽しめる。温泉がある。参加自由の多彩なイベントもある。こんなグランクレール藤が丘の生活は、老人ホームというよりも、豪華客船のクルーズに似ているような気がした。ただ、船旅と違うのは、常に社会とのつながりがあることだ。

個人情報に触れるのであまり詳しい話は聞けなかったが、シニアレジデンスの入居者は東京・横浜のいわゆる東急沿線に住んでいた人が少なくないらしい。だから、これまでよりも少し郊外に引っ越しただけで、買い物や趣味などの活動の場所は大きく変化していないのだろう。

 このサイトの「よりよい老人ホームと出会うために」というコーナーで、福祉開発研究所の吉田幸隆さんが選択ポイントの第一条件としてあげているのが「入居者自身もなじみのある地域が望ましいでしょう」ということだ。住み慣れた地域だからこそ、住むところが変わっても円滑に生活が続けられるのだ。

 高齢者にも暮らしやすい住まいという発想は、確かにまちづくりに通じる。また、「戸建て住宅を処分すれば住み替え費用や老後の生活資金になる」という話も、今回のグランクレール藤が丘でも具体例が見られることから、これから老後の生活資金調達法として一般化するような気がした。

取材した人:茂木登志子(もぎとしこ)

早稲田大学教育学部卒業。毎日新聞社出版局「毎日グラフ編集部」を経てフリーのライター&エディターに。活動テーマは「人と地球の健康」。トラベルジャーナル社「有機野菜が子どもを守る」、日本医療企画「介護保険の上手な選び方」「10兆円介護ビジネスの虚と実」、学研「食べて治すうつ症状」などの取材・執筆に参加。70代の母親と8歳の愛犬という高齢家族と暮らしている。

| 2007年06月01日 |


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