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よりよい老人ホームと出会うために

終の住処となる老人ホームはどう選べばいいか。福祉開発研究所の吉田幸隆さんにアドバイスをいただきました。

福祉開発研究所 代表取締役社長 吉田隆幸さん

福祉開発研究所は、介護保険計画、高齢者住宅計画、障害者計画等の行政分野、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、障害者施設、保育所等の民間分野の、ソフト業務と福祉施設を中心とした都市計画及び建築設計業務を行う。最近では高齢者の介護だけでなく、介護に至らないための健康・生きがいづくり及びユニバーサル住宅、医療、生活用品など、トータルな「しあわせづくり」を目指して幅広い業務に取り組んでいる。

有料老人ホーム需要の高まりと最近の傾向

2000年に介護保険制度が始まり、要介護認定者を対象としたいわゆる介護型の有料老人ホームが急成長しました。
介護保険制度で、家族による介護から、在宅支援サービスを使った社会型介護とでもいうような形に変えようとしたわけです。しかし、実際には要介護度が重くなると家庭での介護には限界がある。そこで特別養護老人ホームを利用しようとすると、入居まで2〜3年待ちです。こうした事情から介護型有料老人ホームへのニーズが増えました。また、事業としても成り立つようになったので、この分野が事業としても急成長し、施設数も急増したわけです。
有料老人ホームの中でもとくに人気が高いのは、入居金が0〜300万円、毎月の費用が17〜20万円くらいの手頃な価格の施設です。こういう入居しやすい施設が増えたのですが、2007年に入ってからは、地方自治体の介護保険制度維持への負担感から有料老人ホームへの整備規制が始まっています。

有料老人ホームの種類と利用者の入居動機

有料老人ホームは制度上、健康型と住宅型、そして介護付の3種類に分けられます。
健康型は、心身ともに自立している健常な高齢者を対象としていて、要介護になると退去しなくてはなりません。
住宅型と介護付の場合には、それぞれの施設で入居要件が定められており、自立者を入居対象とするものと、要支援・要介護者を入居対象とするもの、その両方を対象とするものがあります。いずれも生活支援サービス、介護サービスを受けることができますが、住宅型の場合介護サービスは外部事業者の居宅サービスを個別に契約し利用する事になります。
利用される方のニーズから見たときには、介護サービスを受けることを目的としたホーム(介護型)と、健常な高齢者が生活するためのホーム(健常型)とに2分されます。それぞれタイプで、居室の広さや共用施設の充実度など、ホームのつくりや利用料金の設定も異なってきます。
60代〜70代でアクティブなシニアライフを楽しみたいという方、あるいは配偶者を失って独居や病気等の不安を抱くようになった方は、健常型のホームが向いていますし、80代後半から90代の方で生活支援サービスや介護サービスが必要な方の場合には、介護型のホームが向いているのではないでしょうか。

情報収集の第一歩はサイトから

求めている施設がどのタイプなのか、親御さんの、あるいは入居希望者自身の状態を見極めることが出発点です。その次が、どこにどういう施設があるのか、具体的な情報の収集です。
こうした情報収集は、まずwebサイトが手軽で便利でしょう。「介護付」「入居要件」「自立」など求めるタイプのキーワードと一緒に検索すれば、施設だけでなくさまざまな情報が得られます。
このほかに、施設紹介の本を読む、友人知人に聞く、あるいは行政の窓口やつきあいのあるケアマネージャーから情報を得るのも良いでしょう。

選ぶ極意は「たくさん見て、比べる」

手順としては、まず、ネットなどで検索し、ホームページを開設している施設であれば、必ず見てみることです。たくさん見て、5〜6カ所の候補を絞り込むのがいいでしょう。次は、実際に足を運んで見学し、自分の五感で確かめることが必要です。
老人ホームは終の住処。いわば最後のマイホームです。家を買うときにもいろいろなパンフレットを見たり、モデルルームを見学に行ったりするでしょう。老人ホーム選びもそれと同じなのです。 本や雑誌などにも老人ホームの選び方やチェックポイントが紹介されていますが、見学を重ねて行くとおのずと見る目が養われます。

施設見学ではここを見る

施設の設備面で注意したいのは、社員寮などを老人ホームに転用した改造型の場合です。トイレや洗面所が居室にない、あるいは居室から遠くないかなど、日常生活面で不便や不安がないかどうかチェックしましょう。
サービスの質を確かめることも大事です。パンフレットには至れり尽くせりのサービス内容が記載してあっても、本当にそれが提供されているのかどうか。これはやはり実際にその施設に行ってみないと確認できません。
また、老人ホームの概要、サービスの内容、職員態勢などを記した重要事項説明書は、有料老人ホームに作成が義務づけられています。まずこれを熟読して質問すると良いでしょう。信頼のおける施設なら快く答えてくれるはずです。
サービスの質と関連しているのが、職員の人数です。一定の質を確保するには、マンパワーは不可欠です。「2:1」あるいは「3:1」など入居者に対する職員配置数が記載されているので、そこを確認しましょう。
それから忘れてはいけないチェックポイントが、入居者の表情です。サービスが行き届いた居心地の良い施設は、入居者の表情が明るい。入居者の表情が暗いところは避けた方が良いでしょう。

選ぶ決め手はこの3つのポイント

終の住処となる老人ホームは、高齢者にとって人生最後の大きな買い物です。入居する高齢者自身も、その家族も後悔しないように慎重に選びたいものです。たくさん見比べて、よく吟味してください。そのときに決める手がかりになるのは、次の3つの要素です。

1:地の利

入居者自身もなじみのある地域が望ましいでしょう。介護型の場合には特に、ご家族の面会の利便性を考慮すべきです。実際に、自宅から30分くらいの住み慣れた地域を選ぶ例が多いようです。

2:費用

入居後に毎月どのくらいの費用が必要なのか、これはとても大きなポイントです。経済力にあった金額でないとなりません。また、入居金は最初に一定金額が償却されてしまうため、転居・退去の際に全額返還されないことを知っておきましょう。ちなみに、入居後90日以内なら全額返還されます。万が一、選択の間違いに気づいたら、早めに勇気ある撤退を考えましょう。

3:医療体制

健常型でも高齢者の場合は急に医療が必要になる場合があります。提携医療機関、看護師が24時間常駐しているのかなど、安心できる医療体制であるかどうかがポイントです。また、費用とも関連して来ますが、提携先以外のかかりつけ医の受診は可能か、そういう場合の通院で職員の付添いはあるのか、それは有料かなども合わせて考慮しましょう。